「縮毛矯正した後って、トリートメントは毎日した方がいいの?」
この質問、お客様からもよく聞かれます。
ネットで調べると「毎日しましょう!」と書いてある記事が多いんですが、正直に言うと毎日がベストとは限りません。
むしろ、やりすぎが逆効果になるケースもあります。
大事なのは「毎日やるかどうか」じゃなくて、自分の髪の状態に合った頻度とやり方を知ること。ここを間違えると、良かれと思ってやっているケアが髪の負担になることもあるのです。
今回は、トリートメントの適切な頻度から、正しいつけ方、やりすぎるとどうなるかまで、美容師としてお伝えします。
縮毛矯正後の髪は「何を失っている」のか

トリートメントの話に入る前に、そもそも縮毛矯正後の髪がどんな状態なのかを知っておきましょう。ここが分かると、何をすべきかが自然と見えてきます。
縮毛矯正は、薬剤とアイロンの熱で髪の内部の結合を変える施術です。まっすぐにはなりますが、その過程で髪はいくつかのものを失っています。
①水分:アイロンの熱と薬剤の影響で、髪内部の水分が減少します。
②タンパク質:キューティクルが開くことで、髪の主成分であるケラチンタンパク質が流出しやすくなります。
③油分:髪表面の天然の油膜(18-MEA)がダメージで剥がれ、手触りが悪くなります。
トリートメントの適切な頻度は「髪質別」で変わる

「毎日やりましょう」と一括りにされがちですが、適切な頻度は髪質やダメージの状態で変わります。
ダメージが軽い髪(縮毛矯正のみ・カラーなし)
縮毛矯正だけでカラーやブリーチをしていない髪は、比較的ダメージが軽い状態です。
この場合、お風呂でのトリートメント(インバストリートメント)は2〜3日に1回で十分。それ以外の日はコンディショナーで軽く整えればOKです。
ダメージが中程度の髪(縮毛矯正+カラーあり)
縮毛矯正とカラーの両方をしている髪は、中程度のダメージ。
この場合は毎日〜2日に1回のトリートメントがおすすめです。パサつきやごわつきを感じたらその日はトリートメント、調子がいい日はコンディショナーでOK。
ダメージが大きい髪(縮毛矯正+ブリーチ・繰り返しカラー)
ブリーチや繰り返しのカラーで髪がかなり傷んでいる場合は、毎日のトリートメント+週1〜2回のヘアマスクを推奨します。
ただし、ここで注意が必要です。ダメージが大きい髪ほど「とにかくたくさんつけよう」と考えがちですが、実はそこに落とし穴があります。
次のセクションで詳しくお話ししますね。
「毎日トリートメント」が逆効果になるケース

ここが今回の記事で一番大事な部分です。
「トリートメントはすればするほどいい」と思っている方が多いのですが、やりすぎると逆に髪のコンディションが悪くなることがあります。
コーティング過多で髪が重くなる
トリートメントの多くには、シリコンや油分など髪をコーティングする成分が含まれています。
毎日たっぷり使い続けると、コーティングが重ねがけされて髪がどんどん重くなります。
「トリートメントしてるのにベタつく」「乾かしてもペタンとなる」こういう症状が出たら、コーティング過多のサインです。
我々美容師は「ビルドアップ」などと言ったりします。
残留物質を髪の中に閉じ込めてしまう
ここがさらに重要なポイント。
縮毛矯正の施術後、髪の内部には微量の薬剤の残留物質が残っていることがあります。
コーティング力の強いトリートメントを毎日たっぷり使い続けると、この残留物質を髪の中に閉じ込めてしまい、じわじわとダメージが進行する可能性があるのです。
つまり、トリートメントは「足し算」だけじゃなく、ときには「引き算」も必要ということ。
毎日やるべきか、2〜3日に1回にするかは、自分の髪の状態をよく観察して判断してください。
トリートメントの正しいつけ方・流し方
頻度だけでなく、つけ方も大事です。同じトリートメントでも、やり方次第で効果がかなり変わります。
ステップ① シャンプー後、しっかり水気を切る

トリートメントをつける前に、髪の水分をしっかり絞ってください。
髪がビショビショのままだと、水分でトリートメントが薄まって浸透しにくくなります。軽く絞って、余計な水分を落とすだけでOK。
ステップ② 毛先〜中間を中心につける

トリートメントは毛先〜中間を中心につけます。根元にはつけません。
根元につけると頭皮の毛穴を詰まらせる原因になりますし、根元はまだダメージが少ないので必要性も低いです。
ダメージが一番大きいのは毛先。そこに重点的に塗布しましょう。
ステップ③ 目の粗いコームで全体になじませる

手でもみ込むだけだと、ムラができやすいです。
目の粗いコームで毛先から中間にかけてスーッと通すと、均一にいきわたります。このひと手間で仕上がりが全然違いますよ。
ステップ④ 2〜3分置いてからしっかり流す

つけた後は2〜3分放置して浸透させます。5分以上置いてもそれ以上の効果はあまり変わりません。
流すときは「ちょっとヌルっとが残るくらい」で十分。完全に流しきる必要はないですが、残しすぎるとベタつきの原因になるので注意です。
洗い流さないトリートメントとの使い分け
お風呂のトリートメント(インバス)と洗い流さないトリートメント(アウトバス)、どう使い分ければいいのか迷う方も多いと思います。
簡単に言うと、役割が違います。
インバス(お風呂のトリートメント)= 髪の内部に栄養を補充する
アウトバス(洗い流さないトリートメント)= 髪の表面をコーティングして守る
つまり「中に入れる」のがインバス、「外から守る」のがアウトバスです。
縮毛矯正後の髪は内部の栄養が失われているので、インバスで中身を補充して、アウトバスで蓋をする。この2段階のケアが理想です。
ただし、先ほどお話しした通り「毎日両方たっぷり」は逆効果になることもあります。
おすすめの使い分けは:
・インバストリートメント:2〜3日に1回(ダメージが大きい場合は毎日)
・アウトバストリートメント:ドライヤーの前に毎日
アウトバスは熱から髪を守る役割もあるので、ドライヤー前には毎日つけた方がいいです。量は少量で大丈夫。つけすぎに注意してくださいね。
韓国で広まっている「スキンケア発想」のヘアケア
最近、韓国のヘアケアで注目されているのが「スキンケアと同じ発想で髪をケアする」という考え方です。
韓国では以前から、頭皮を「顔の肌の延長」としてとらえて、スキンケアと同じレベルの丁寧さでケアする文化があります。
海外メディアでも「韓国のヘアケアが支持されるのは、頭皮をスキンケアと同じ真剣さで扱うからだ」と紹介されるほどです。
(参考:Marie Claire UK「Move Over Glass Skin—Korean Beauty Is Shifting the Spotlight to High-Shine Hair」)
また、日本ではシャンプーとトリートメントを毎日同じように使う人が多いですが、韓国ではアウトバストリートメントの種類がとても豊富で、髪質やその日の状態に合わせてアイテムを選ぶ習慣が根づいています。
(参考:RAXY「最新のおすすめ韓国ヘアケアアイテム6選」)
スキンケアって、毎日同じ量の化粧水と乳液を機械的に塗るわけじゃないですよね。
乾燥してるなと思ったらたっぷり保湿するし、調子がいい日は軽めにする。
ヘアケアも同じで、髪の状態を見ながら「今日はトリートメントが必要」「今日はコンディショナーだけで十分」と判断する。
この考え方は僕もすごく共感していて、「毎日同じケアを機械的にやる」より「髪の声を聞いてその日に合ったケアをする」方がずっと効果的です。
難しく考える必要はなくて、シャンプー後に毛先を触ってみて「パサついてるな」と思ったらトリートメント、「今日は調子いいな」と思ったらコンディショナーだけ。
それくらいのシンプルな判断で十分ですよ。
よくある質問(Q&A)
Q. トリートメントとコンディショナー、どっちを使えばいい?
両方の役割が違うので、使い分けるのがベストです。トリートメントは髪の内部に栄養を入れるもの、コンディショナーは表面を整えるもの。トリートメントを使う日はコンディショナーは不要です。トリートメントを使わない日にコンディショナーを使うイメージでOK。
Q. 市販のトリートメントでも大丈夫?
大丈夫です。大事なのは値段よりも「自分の髪に合っているか」。ただし、極端に安いものは保湿・補修成分が少ないことがあるので、成分表をチェックする習慣があるとベターです。
Q. 施術当日からトリートメントを使っていい?
Q. ヘアマスクとトリートメントの違いは?
ヘアマスクはトリートメントの「濃縮版」と考えてください。補修・保湿成分の濃度が高い分、毎日使うとコーティング過多になりやすいです。週1〜2回のスペシャルケアとして使うのがおすすめです。
まとめ|トリートメントは「足し算」より「合わせる」が大事
今回のポイントをまとめます。
・トリートメントの頻度は髪のダメージ状態で変える(毎日〜2〜3日に1回)
・毎日たっぷりはコーティング過多→ベタつき・残留物質の閉じ込めリスク
・つけ方は「水気を切る→毛先中心→コームでなじませる→2〜3分放置」
・インバス(中に入れる)とアウトバス(外から守る)は役割が違う
・アウトバスはドライヤー前に毎日。インバスは髪の状態を見て調整
・韓国の「ヘアスキンケア」のように、髪の状態を観察してケアを変えるのがベスト
「毎日やらなきゃ」と義務感でやるよりも、自分の髪をよく見て、その日に必要なケアを選ぶ。このスタンスの方が、結果的に髪はキレイになりますよ。


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